Goodwood Cafe top / Woody Note top
 ■07年3月28日  旅の香り  (ブログ アーカイブス) ()

 この季節になると、無性に旅に出たくなる。

 人間の記憶と最も強く結びついている感覚は嗅覚だと言われる。それを考えれば、僕の旅への欲求も三月の香りに呼び起こされているものだと考えてよいのだろう。初めての海外。友人たちとのアメリカ珍道中。まだ肌寒かった京都。思えば思い出に残る僕の旅の多くは三月の空気の中でのものだった。そしてもちろん、すべての人がそうであるように三月は新生活へむけて、自分が外的にも内的にもダイナミックに動き出すシーズンでもある。引越しや新生活も、見知らぬ場所への移動と見れば、それもひとつの立派な旅だ。

 三月の香りとは土の香りでもある。小学生の時、下校時に僕の前を歩いていた上級生が突然「土の香りっていいよねえ」とつぶやいた。僕は幼心に(なんてキザなヤローだ…)と思ったのだが、結局自分もいつの間にか春の訪れを土の匂いで感じ取るようになった。あの上級生、もう誰だったかもすっかり忘れてしまったのだが、きっと詩人オヤジになってることだろうなあ…。

 庭の梅の木がもう満開に近くなった。土の香りとともに、花の彩りもまた旅のアクセントである。
 旅はいい。たとえそれが、ほんのちっぽけなものであっても。


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